【廻る世界で奇跡の歌を】〜間章〜 ランプの暖かい明かりが広がる部屋に、カリカリとペンが紙を滑る音だけが響く。 と、そこに扉をノックする音が入り、ペンの音がピタリとやんだ。 「入れ。」 ペンを動かしていた青年が呼びかけると、扉が開き、一人の少女が入ってきた。 「どうだ、様子は。」 青年が少女に問う。 「だいぶ衰弱してしまっているそうだわ。このままだと近いうちに栄養失調で倒れるわね。」 「っ‥‥そうか‥‥‥。」 そう少女が言うと、青年は奥歯を噛み締め、ギリリとペンを持つ手に力を入れる。 木製のペンがミシリと悲鳴をあげた。 その様子を少女はただ黙ってみつめる。 「手続きはすんだのか?」 「ええ、明日から登城可能になるそうよ。《ライア》が行くのでしょう?」 「当然だ。」 「じゃあ、明日に‥‥。」 「ああ。」 おやすみなさい。と言葉を残し、少女は部屋を出て行く。 青年は目を伏せ、天を仰いだ。 「‥‥‥もうすぐ、もうすぐだ。」 必ず助けてやる。 だから、待っていろ。 「‥‥‥ルーク‥‥‥」 * * * * * * * * * * * 多分バレバレだと思う『彼』サイドの話。
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