【廻る世界で奇跡の歌を】〜2章〜








空が月明かりが映える暗さになった頃、
蝋燭の僅かな明かりで本を読んでいたルカは、パタンとその本を閉じた。



「‥‥‥そろそろ、かな?」



そう誰にともなく呟くと、錠の開く音がし、教会の扉が開かれた。

開かれた向こうには、ガイと、重そうな鎧を着込んだ兵士がいた。



「ルカ様。月光浴のお時間です。」



表情の伺えない兜から、低い声がそう言うとルカは、

へいへい、行けばいいんだろ。

と、側に来たガイの手を取り、緩慢な動作で立つ。

ルカが一歩教会を出ると、兵士達がルカの周りを囲むように立つ。
まるでルカに中庭までの道を知られないように、
そしてルカの姿を人目に写さないかのように。

兵士達の毎回のその行動に顔をしかめるが、黙ったまま前にいるガイの後をついて行く。

中庭に着くと、輪は崩さず兵士達はルカから少し距離をとる。

ルカは空を見上げる。
空には沢山の星と、丸が少し欠けた月があった。

今日は月や星がよく見える。

月の光を胸元の石にあてながら、ルカは星を見ていた。

ガイが持って来てくれた書物にあった星座をさがす。

この時間だけ外に出る事を許される。
しかしすぐ側には兵士達がいるから何もできない。

せっかく外に出られるのだからと、
ルカはこの時でしか見られない星座などを探しては見ていた。

沢山の星を見て、星にはすっかり詳しくなっていた。


星を見ていると、キラリと輝いて流れ星の光跡が尾をひいた。


(あ、流れ星!)


それを見たルカは目を閉じて願い事をする。


(青空が見れますように。)


願い事はどうせ叶わないからと、日によって違うものを願った。

願いはやはり、ほとんどが『外』でしか出来ない事ばかりだった。



「ルカ様、お時間です。」


一人の兵士が前に出てルカに月光浴の終わりを告げる。


「今日も駄目だったか‥‥‥」


そう言ってまだ原石のままの石にそっと触れる。
月の恩恵を受けて仄かに熱くなっていたけれど、それだけだった。

教会へ帰ろうと踵を返した時、ふと前にいる兵士に違和感を感じる。
よく見れば足を少し引きずっていた。



「なぁ、お前‥‥。」

「‥‥なにか?」



気になって、つい話しかけると、
兵士は訝しげながらもちゃんて返事を返してきた。


「足‥‥怪我してるのか?」


ルカに遠慮がちにそう問われ、
兵士は僅かに狼狽するが、すぐにそっけなく返す。


「訓練中に捻挫してしまっただけです。お気になさらずに。」


しかしルカはひかずに兵士の側へと行き、足元にしゃがみ込んだ。


「っ!?ルカ様、何を‥‥!」

「気にするに決まってるだろ!怪我、早くなおさなきゃ。」


そう言いルカは兵士の足に手を添え、
ポツリポツリと歌うように何かを唱える。


すると、ルカの手から淡い光が発せられ、兵士の足へと纏わりつく。
その光景に兵士は驚き足を引こうとする。

だがルカの必死な表情と、徐々に痛むが引き軽くなってゆく足に、引こうとした足が止まった。

その光景を見ていた周りの兵士も驚いたようにルカを見つめる。

光が徐々に治まり、ルカが深く息をついた。


「‥‥‥ふう‥‥足、どうだ?」


「え‥‥あっ!だ、大丈夫です‥‥‥。」


「そうか‥‥よか、‥‥った‥‥。」


兵士の言葉に満足そうに微笑むと、かくりとその場にくずおれる。


兵士は咄嗟に手を出してその身体を抱き留めた。

思っていたよりも軽いその身体にまた驚く。


「ルカっ!!」


ガイが慌てて駆け寄る。


「ガイ‥‥だい‥じょうぶ‥‥少し、疲れただけだ‥‥‥。」


「大丈夫なわけ、ないだろう‥‥。」


そう言うとガイはルカの身体を抱き上げて歩きだす。


慌てて兵士達も後を追い、来る時同じような陣形をとり、
早く教会に着くように早歩きするガイに合わせて歩きだした。





教会に着き、兵士達は自分達の持ち場へと戻って行く。
そんな中、人だけ兵士が残っていた。

ルカが怪我を治した兵士だ。

少し逡巡したのち、意を決したのか、ガイの腕の中でぐったりしているルカに話しかける。


「あ、あのっ‥‥!」

「ん?‥なに?」

「どうして、治してくれたのですか‥?」


兵士の問いにルカはフワリと微笑む。


「だって、怪我すると痛いじゃないか。俺も痛いの、嫌だからさ。だから、治した。」


ルカの真っ直ぐな答えに兵士は胸を打たれた。


「‥‥‥ありがとう、ございます。」

「いや、‥‥えっと‥‥」


逡巡しているルカに、兵士は兜をとると、くすんだ焦げ茶の髪をした、勇ましい顔が現れた。


「自分はアルドと申します。ルカ様。」

「・・・・・!うん、アルド。どういたしまして。」


そう笑顔で言うルカにアルドは照れくさそうにはにかみ、
一礼して自分の屋敷へと戻っていった。


その一部始終をガイは微笑ましく見ていた。

ルカの良いところに気付いてくれた者が一人増えたのだ。
気分はもう親で、ガイはとても嬉しく思った。



ガイはルカを寝台に降ろし、布団をかけてやる。

「ルカ、大丈夫か?今日は俺も教会に泊まろうか?」

「いいって、ガイは心配しすぎなんだよ!」


だがなぁ‥‥と言うガイにルカはさらに畳みかけるように言う。

「もう平気だっつーの!今日はイオン達の《気》をもらったし、
 ほんの少し疲れただけだって。」

あれでほんの少しなのかと思ったが、一度こう言ったら聞かない幼馴染みの性格を、
よく知っているガイは、苦笑いし、ルカの言葉に従った。

「わかった、じゃあ俺はそろそろ失礼するよ。」

「おう、おやすみ、ガイ。」

「ああ、おやすみルカ。良い夢を。」

そう気障ったらしいセリフを言ってガイは手を一振りし、教会から出ていった。






ガイが去った後、ルカの頭に一瞬キンッ、とした痛みが走る。

(来たっ‥‥!)

だがルカの表情は喜々としたものだった。


(‥‥‥‥ルカ‥‥)


しばらくして聞こえる声にルカは笑みを深くする。


(テフラっ!)


頭の中に直接流れ込むように聞こえる声にルカは喜び相手の名前を呼んだ。


(月光浴はもう終わったのか?)

(うん、やっぱり今日も駄目だった。)


しかしルカの顔には笑みが浮かんでいた。


この謎の声は数ヵ月前から突然聞こえるようになったのだ。

最初のうちは幻聴かと思ったが、会話ができるので、
今ではルカの数少ない友人の一人であった。

しかし、テフラという名前以外は素性がわからなかった。

それでも、話し相手がいるという事は、
極力人と関わりを持つことの許されないルカにとっては、とても大切な存在だった。


(そうか、残念だったな。)

(ううん、いいんだ。)

(いいとは‥‥何故だ?)

(ん‥‥よくわからないけどさ、なんか、覚醒しちゃ行けない気がするんだ。)

(それは‥‥)

(あっ、俺ってば何言ってるんだろうな。早く覚醒した方がいいに決まってるのに‥‥。
 変なこと言ってごめんなテフラ?)

(いや、構わない。覚醒には個人差があるからな。
 ‥‥それはそうとパートナーの方はどうだ?)

(これも全然駄目。みんなマズイ《気》ばっか!
 美味しいのもたまにあるけど、やっぱりなんか駄目なんだよな。)

(ルカはなかなか舌が肥えてるな。)


クツクツと笑う声が脳に響く。


(ちぇー、笑うなよな!)

(ククッ、すまない。)

(ま、別にいいけどさ‥‥。あ、今日の月光浴でさ、流れ星見たんだぜ!)

(ほう‥‥で、今日は何を願ったんだ?)





(ん、青空見たいって願ったんだ。)




(・・・・・・・・そうか‥‥)


(叶うかどうかわかんないけどさ。)


(いや、叶うさ。)


(そうかぁ?いつ外に出られるかもわかんねぇのに?)


(きっと外に出られる、‥‥必ず。)


(‥‥?・・・そっか。うん!なんかテフラがそう言うと叶う気がする。
 もし外に出られたら、俺、テフラに会いに行くよ!)

(ああ、待っている。そしたら俺の《気》でも食わしてやるよ。)

(ははっ。なんかテフラの《気》って堅そう!・・・うん、でも楽しみにしてるよ。)

(あぁ。ホラ、今日はもう寝ろ。)


(うん、お休みテフラ。)


(ああ、お休みルカ。)



プツンと何かが切り離される感覚とともにテフラの声が聞こえなくなった。



「ふぁ‥‥さて、寝るか。」



布団に潜り込むと、やはりまだ疲れていたのか、
すぐにきた睡魔に身を委ねて。ルカは眠りにおちた。




















‥‥ク‥。


‥‥‥に?


俺達で‥‥‥を‥‥おう‥‥。


‥‥う‥・・!


これは‥‥の‥た‥‥‥だから‥‥。


わか‥‥た‥!





お前と俺で・・・・・・・・・






* * * * * * * * * * * *

あとがき

意味不明なところで切ってしまった・・・orz
所詮私の考える稚拙な捏造話さ・・・・

兵士アルドはめっさオリキャラです☆
名前の由来は・・・・・・・・
私の崇高している坊ちゃんのジャンルのあの人ですよ☆

テフラは誰かはもう皆しってるだろうね!(笑)
バレバレだもん!
名前の意味を調べればさらにバレバレ!

テフラはギリシャ語で・・・・・アレですもん(何)


次回にはまた新たな人物が現れたり・・・・??





SEO対策 ショッピングカート レンタルサーバー /テキスト広告 アクセス解析 無料ホームページ ライブチャット ブログ