【廻る世界で奇跡の歌を】〜7章〜
「ケツ痛てぇ‥‥」
ガタゴトと揺れる馬車に、乗った事のないルカは苦戦していた。
面白くなさそうに窓を見る。
だが、その窓はきっちりと隙間なく木板で閉じられており、
外を見る事はできなかった。
(ったく、せっかく外に出られたってのに、こんなんじゃ、教会にいる方がマシだぜ。)
ふいに、ガタガタと揺れていた馬車がピタリと止まった。
外から閂がかかっていた扉が開かれる。
「やっと着いたのか‥‥」
げんなりとして馬車を降りる。
だが、やっと外に出られたと思い、喜々とした様子で空を見上げた
・・・・・・・のだが、
「はぁ!?なんだよこれ!」
見上げて目に写ったのは、ゴツゴツした岩の天井だった。
「〜〜クソッ!どんだけ俺を外に出させない気だよ!ぁんのデブオヤジ!!」
怒りをあらわに大声で叫ぶが、坑道内で反響するだけで、
それも直ぐに奥へと吸い込まれていった。
ルカのそんな様子に、兵士達は少々驚き、身を引いたが、
自分達の任務をまっとうするため、ルカを坑道の奥へといざなう。
不満たらたらの顔でルカは先へと進んだ。
――キィィン
ふいに襲う頭痛に眉を寄せる。
「っ・・・ ! テフ、ラ・・・?」
《‥ル‥‥!‥行‥な!‥‥》
(テフラ‥‥?)
いつもと違い、何故か今日は聞こえ難い。
しかも何か焦っているようにも聞こえる。
《‥‥カ‥!‥‥奥に‥‥行‥‥な!‥‥》
(何?聞こえないよ?)
すると、一瞬だけ接触が良くなり、テフラの声が鮮明に聞こえた。
《それ以上奥に行くな!》
(え?)
しかしルカはもう奥の広い場所にまで連れて来られていた。
そこは全体的に暗色の霧のようなものがかかっていた。
「なん‥‥だよ、これ‥‥。」
なんだか息苦しくなるように思い、ひとつ咳をする。
「怪我人ってどこだよ・・・。」
辺りを見回すが、人っ子一人見当たらない。
「ルカ様‥‥」
気付けば兵士達がこちらを向いていた。
じりじりと近付いて来る兵士達に、ルカは思わず後退りする。
トンッと背中が堅い岩に当たった。
「な、なんだよ‥‥‥!」
気丈に聞き返すが、その声も少し震えている。
しかし兵士達はルカの両腕を押さえ付け、拘束する。
「っ!離せっ!」
暴れだすルカを押さえ付け、今回の指揮官だという男は、
静かにゆっくりと告げた。
「貴方の力で、この障気を消してもらいます。」
* * * * * * * * * * *
はいはい、また唐突に名無しキャラ出たよー。
demosyosentukaisute☆(爆)