〜雨の日の記憶1〜
























雨の音が―――・・・聞こえる―――――・・・・・。



















――――――ザアァァァ・・・・・・


















また、あの夢か。


















ただ、延々と雨が降り続けるだけの夢。




















―――――っ・・・・!・・・・















声が・・・・・・・・・

















――――・・・・・・ぁ・・・・・・・さ・・・・・・・・



















この声は・・・・・・俺・・・・・・?



















―――――・・・っ・・・・・しゅ・・・・・に・・ぃ・・・・・さ・・・・・!・・・・・・


















――――にいさん―――――――?




























「ルーク!」






自分を呼ぶ声に、ルークは夢から目を覚ます。


声の主は昔からよくつるんでいた親友――ガイだった。






「は・・・・・ガイ?あれ・・・・・??」




「もう昼だぜ?いくら春休みだからって寝すぎだぞお前。」




「へ・・・?うわ、いま何時?」




「もう正午をまわってる。・・・・・それにしても、うなされてたみたいだが・・・・・・またか?」





「あ、うん・・・・・・。」







ルークには七年前の記憶が無い。



警察の話によると七年前の雨の日、チーグルの森で傷だらけで倒れている所を保護されたらしい。


しかも以前の記憶が無く、覚えていたのは自分の年と僅かな言葉と自分の『ルーク』という名前だけ。


以来、ローレライ孤児院に引き取られ育てられてきたのだ。


そしてルークは、いつまでも孤児院に世話になるわけにはいかないと、
去年からアパートを借りて一人暮らしをしていた。






「あー・・・頭痛ェ・・・・・・;」






ルークはたまに先ほどのような夢を見る。


いつ見ても同じ、ただ雨が降る夢。


医者は、昔の記憶かもしれないと言うが、七年たった今でも思い出せないでいた。


そして、その不可思議な夢を見た後は、きまって頭が痛くなるのだった。


さすがに七年も続くと慣れてくるが、やはり痛いというのはいいものではない。









「ここんとこ多いな。今日のも雨の夢か?」




そう言ってガイは苦笑いをした。

彼の本名はガイラルディア・ガラン・ガルディオス。
本人は長いからガイでいいと言うので、そう呼ばせてもらってる。
ガイは俺のいたローレライ孤児院のスポンサーしていたガルディオス家の息子で、
よく孤児院に遊びに来て俺と遊んでくれた。
事故があって家族を亡くして以来、ちょっとしたトラウマがあって女性恐怖症らしい。
けど、普段は気のいい奴で俺の親友だ。





「うん、やっぱり雨が降ってた・・・・・・あ・・・でも違うんだ。今日のは、声が聞こえた。子供の声。」





「何?子供の声?」





「うん。なんか・・・よく聞こえなかったけど・・・・多分、あれは俺の幼い時の声だと思う。」






「もしかしたら記憶を失う前のかもしれないな・・・・・・それで、なんて言ってたんだ?」






「ハッキリと聞こえたワケじゃないけど・・・・・・・・・確か・・・・・・









           『にいさん』 






          


                     ――――――って。」
















ルークは思った。





これは自分には兄がいたという事なのだろうか?






夢の中での事なので、確証はなかったが。






今まで雨しか降らなかった夢に、兄を呼ぶ幼い自分の声。






これは・・・・この夢は、何を意味するのだろう・・・・・・?














ルークの話をきいたガイは驚いたように軽く目を見開いた。







「ガイ?」







「あぁ・・・・・・ルーク。実は、俺は今日その件で来たんだ・・・―――。」



























「俺にそっくりな奴がいる?」












「あぁ、俺の通う学校の生徒なんだが・・・・・・名前はアッシュ。アッシュ・フォン・ファブレだ。」









「アッシュ・・・・・」







ルークは聞かされた人物の名前を口の中で繰り返した。








(なんだろう・・・・・・初めて口にする名前じゃない感じだ・・・・・)







「もしかしたら、そいつがお前の夢で言ってた『にいさん』じゃないか?」







「うーん、そうだとしても世界には同じ顔が3人いるって言うしなぁ・・・・・・・・・・会う事って出来ないのか?」








会って見たいと思った。





自分の生き別れの家族かもしれない。とも思ったが、ただそいつに会って見たいと思った。


それは何故かはルーク自身にもわからなかったが。


それに、もし赤の他人だとしても、何か思い出せるかもしれないと思った。








「うーん、アイツ、いつも忙しそうだからなぁ・・・・・・・・・・・・・!そうだ、ルーク。」



何か名案を思いついたらしいガイが手を打つ。


「ん?」




「お前、いっその事ウチの学校に転校してこいよ。」














「・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」












事も無げに話す目の前の親友に、ルークは思わず間の抜けた声をだした。








「そうだ。うんそれがいい。ルーク、ウチの学校に来いよ俺から向こうの学校に話しておくからさ。
 ピオニー校長は話のわかる良い先生なんだ。大丈夫、お前なら即OKくれるって☆」







「で、でも・・・・・」







「そうと決まれば早速話しをしてこないとな!善は急げだ。じゃあな、ルーク!」







「ちょ・・・・・ガイ・・・・!」








――――バタン











あぁ、親友は華麗に去ってしまった・・・・・・。









そりゃあ、そこの生徒になれば確実にその『アッシュ』ってやつに会えるかもしれないけど・・・・・。


それに、いくらガイがガルディオス家の息子だからって簡単に承諾する校長先生ってどうよ?


いやいや、そう言う事じゃなくて・・・・・・





ぶつぶつと考え込むルークだったが、事は実に順調に進んでいった。


















キュッ と、なれない手つきでネクタイを締める。(前の学校は学ランだった)




新しい制服に身を包んだルークは鏡の前で深呼吸をした。





そして、そっと首に下げている指輪をシャツ越しに握る。



その指輪はルークが記憶を失う前から持っていたであろう、唯一の物であった。







記憶を失う前、かどうかはわからないが、発見された時に大事そうに手に握られていたらしいのだ。

その手は目を覚ますまで、強く握られていて、開かなかったらしい。

飾り気の無いシンプルな指輪は、リングの内側に文字と何かの模様が刻まれていた。

だが、文字はかすれていて読めなかった。
もしかすれていないとしても、きっと何と書かれているかわからないであろう、
見たことの無い文字で刻まれていた。

模様も最初は何処かの家紋かと思ったが、このような模様の家紋は発見されなかったらしい。



結局、手がかりになるような物では無かったが、ルークは何故かそれを手放せないでいた。


以来、ルークはそれを細いチェーンを通し、首から提げ、肌身離さず持っていた。








「はぁ・・・・・・遂にこの日が来たか・・・・・・・・。」







あのあと、ガイと、記憶を失ったルークに定期的に検査をしに来ていた、
主治医のジェイド(実はその学園の保険医でもあったのだ!)の働きによって、
事はまさにとんとん拍子に進み、ルークは新しい学校『アビス学園』に転校する事になった。









「ルークー、迎えに来たぞーー!」






玄関の方からガイの声がした。







「おはよう、ガイ。」





「おはよう。あ、結構似合うじゃねーか、ウチの制服。」





「そ、そうか?」





「あぁ♪さ、学校に行こうぜ。」





「おう。」









こうしてルークはガイと共に転校先の学校へと向かったのだった。











*******************


あとがき(と言えば聞こえがいい)


ぎゃっはーーー!!
ついにやっちまったよ現代パロ!!
文才(絵才)もないのにこんちくしょうめが!!
さて・・・いつまでもつかな・・・(爆)

アシュルク(?)で進めて行く予定です。



か、感想下さると書くスピードが増す・・・かも?














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