幸せ過ぎて恐いとはこの事だろうか―――

―――ふと、そう思った。





―――遠い日の記憶4―――








「にしても、まさかルークがファブレのご子息だったとはなー。」

帰りの道中にガイが言った。





あのあと、ガイの入れて、5人でささやかなティータイムをした後、
もう時間も遅くなってきたので今日の所はアパートに帰る事にしたのだ。

両親や使用人達(得に母上)に今日は泊まっていけと強く引きとめられたが、
学校の準備などもあるため、とりあえずいったん帰ってまた日を改めて来る事にしたのだ。

アッシュとガイののフォローもあってか、渋々と願いを引き受けてくれた。
(それでも母上はまだ諦めていないようだったが。)








「なんか・・・俺もまだ記憶戻ったばっかだし、実感沸かねぇや。」



随分と話し込んでいたためか、もう日が暮れはじめていて、
夕日に照らされた赤い空が美しかった。



「ははっ、なんかシンデレラみたいだな。」


「なんだよそれ・・・・;」


からかうガイにルークは横目でジトリと睨みつけた。
何故かアッシュにも少し睨まれてしまいガイは思わず苦笑した。


「さて、俺はちょっとグランコクマの方に用事があるから、
 違う電車に乗るんだが・・・お前達はこれからどうするんだ?」


「あー、うん。とりあえず家・・・・アパートに帰るかな?」

「なら俺が送って行こう。」

「え、でもアッシュが住んでるベルケンドからは少し方向が逸れてるぜ?」

「構わん」


「ルーク、アッシュに送ってもらえよ。
 もう日が暗いし。はお前が心配なんだよ。」

やれやれ、と言った風にガイが言った。

アッシュが余計な事を・・・と舌打ちする。


ルークはしばし逡巡したのちに答えた。

「んーと、じゃあ、そうしてもらうよ。」

密かにまだ離れたくないという思いもあったため、結局送ってもらう事にした。



「そうしてもらえ。じゃ、俺はこれで失礼するよ。」


「ああ」

「おう、またなガイ!」


「ああ、二人とも気を付けてな。」




そう言ってガイと別れたあと、アッシュとルークはルークのアパートへと向かった。







二人がアパートに着いた頃にはもう星が見えはじめていた。


「アッシュ!今日はありがとう。父上と母上の事とか・・・もちろんこうして送ってくれた事も。」

「別に構わない、礼を言われるような事はしてない。」

「それでも・・・ありがとう!」

ルークは心から感謝し、笑む。

その笑顔につられたのか、アッシュも少し口端をつりあげた。


「じゃあ、俺はこれで帰る。」

「あ・・・う、うん。」


そう言って帰ろうとした時、途端にルークの表情が少し寂しげなものに変わる。

「・・・・・・・」

それを見たアッシュは、ふと、考え込むようなし仕草をした。

「アッシュ?」




「ルーク・・・」

「え、なに?」







「お前、ウチに来ないか?」





「へ?」





突然の話にルークはイマイチ理解できず、唖然とする。
思わず間抜けな声まで出してしまった。


「・・・・・・・俺の住んでるマンションで一緒に暮らさないか?と聞いたんだ。」


「あ・・・・」


ようやく理解したルークの表情が高揚としていく。



「一人で使うには少し広いしな・・・・部屋もまだ余っている。」


「で、でもっ、迷惑じゃないか??」


なおも確認しようと聞くルークにアッシュは呆れた顔をする。

「何がだ?迷惑だったらこんな話などしない。それとも・・・嫌なのか?」


「い、嫌じゃない!」

ブンブンと音がしそうなほどルークが頭を振る。



「そうか、なら来い。早いうちに父上達に言って引越しの手筈を整えてもらえ。」

「うん!」



どうしよう・・・めちゃくちゃ嬉しい・・・・・・!!

アッシュと毎日一緒にいられるんだ!




そしてそう思っているのはアッシュも一緒だった。
なによりも大切な半身を身近に置いておきたかった。





「じゃあ、また明日来る。」

「うんっ!また明日な!!」



手を振り見送るルークにアッシュは軽く手をあげ、夜闇消えていった。

その二人の頬が少し赤らんでいたのを知るものは誰もいなかった。







END




*********************
コレがあとがきに見える人ー!(シーン)

なんじゃこりゃぁぁぁああ!!!
無理やりにもほどがある・・・!

い、一応「とおきお」はこれにて完結です・・・。

ただ単にルークが帰還するのと、アッシュとルークに、
同居してもらおうと思って書いた話なんですよ。
これから短編とか書いたら、話は飛んで
きっともう二人は兄弟の域を超えてます(爆)
ぶっちゃけどういう傾向で恋仲になったか、
書くのがメンドイし思いつかんのですよ;

ここまで読んで下さった方、ありがとう御座います!







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