〜雨の日の記憶2〜

























アビス学園は広かった。






















私立ともあって広かったが、問題は、その迷路のような建物の造りだった。







なんでも校長の趣味とかなんとかで・・・・・・。








「迷った・・・・・・;」







そしてルークは今、迷子になっていた。







ガイに案内され、校長室へ行き、非常に愉快な校長と話しをした後、





『どうだ、しばらく学校内を見回ってみろ』





と言われたので、今日から通う事になるこの学校に早く慣れようと、見て回る事にしたのだ。


しかし、行けども行けども同じような道ばかり。


ぐるぐると迷っている内に、どうやら裏庭に出てしまったようだ。








「んーーー・・・人に聞くしかないかぁ・・・ちょっと恥ずかしいけど・・・;」







道に迷ったと言うのは恥ずかしいが、転校生なのだから仕方が無いと、
思い、ルークは人がいないか辺りを見回した。


だが、放課後をだいぶ過ぎていたので構内に残っている生徒はごく僅か。

裏庭にいる物好きな人もいるわけが無かった。





どうしよう。ガイは何処にいるのかな。
クラスメイトに呼ばれていっちまったし・・・・・・。






ふと、死角になっている壁の向こうに人の気配がしたので、ルークは近づいてみた。





よかった、道が聞ける!








「あのー・・・・・・・あ。」








人は確かにいた。


それも5人。


しかしその手には。


















「・・・・・・・・タバコ?」


















「ぁあん?」


















まごうことなき不良だ。














思わぬ現場に遭遇してしまったルークはどうしようかと迷っていたが、







「げっ生徒会長だ!!」





「やべぇ!隠せっ!!」





「何で此処にっ?!!」






どうした事か、不良達は自分の顔を見るなりひどく狼狽しだした。

中には怯えて涙目の者もいる。







「へ?な、なんだぁ??」





ルークもわけがわからなかった。






すると、多分不良達の頭であろう、一人の体格のいい男が ずい、とルークの前に出てきた。






「お前らビビってんじゃねぇ!」





その男が一喝すると、不良達のざわめく声がピタリとやんだ。


すると男はルークに向き直り、先ほどとは違う、気味の悪い笑顔で話しかけてきた。






「これはこれは、アッシュ生徒会長じゃないですか。俺達に何か用が?」








「!」






いま、この男は確かに『アッシュ』と言った。



てことは、自分を『アッシュ』と勘違いしたのだろう。


それほどにまで自分達は似ているのか。







(・・・アッシュって生徒会長なんだ・・・えらいなぁ、俺とは大違い・・・・・。)



そうルークはのんきに考えていた。






「会長さんよぉ、見逃してくれねぇかなあ?」







「! た、タバコは駄目だろ。体に悪いぜ?」







ツッコミ所が違うルークだったが、不良はその事に腹を立てたらしい。









「けっ いっつもすましやがって。いつかブチのめしたかったんだよ!」






男が命令する。







「お前ら、行け。」







「で、でも、相手はアッシュだぞ?」



「それになんか様子がおかしいぞ・・・」








「かまわねぇ!なにビクついてやがる!相手はたかが一人、やっちまえ!!」






「え?え??な、なんだ??」






男の煽りを合図に、不良達が飛び掛ってきた。







「わ、わっ」






しかしルークは孤児院にて剣術を主に武術を少しかじっていたため、普通の人よりは強かった。








向かい来る不良達の攻撃を次々にかわしていく。









「くそっ!」







一人の男が何かを取り出した。






男の手にあるのは、












一本の ナイフ










「うぉっ!くそっナイフは反則だぞ!」








「けっ反則もなにもあるかっ!」







ナイフをよけたルークだが、よけきれずに髪を少し切られてしまう。








「あー!髪が!!」







「髪ぐらいで女々しいなぁ。」







「んだとぉ!!」






つい頭に血が上ってカッとなってしまい、まわりへの意識がおろそかになってしまう。



そして後ろをとられ、不良達に掴まれてしまった。



掴まれた拍子にチェーンが切れ、指輪が飛んだ。




「 !! あ・・・・・・・・ぐぅっ!」



とっさに指輪を取ろうとしたが、不良達に取り押さえられてしまう。





さすがに5対1は分が悪い。





助けを呼ぼうにも周囲には人の気がまったくと言っていいほど無い。






徐々にナイフが近づいてくる。



薄刃のそれは、殺傷性は低い物の、ただ「低い」だけでまったく危険が無いわけではない。

ましてや、狂気に満ちた者の手に渡れば―――











ちくしょうっ―――だれかっ・・・―――ガイ!――――・・・・





浮かんでくるのは頼れる兄貴分の親友の名前。








そして












―――――兄さんっ・・・・・・!!!!














実在するかどうかもわからない兄だった。




























「お前達、そこで何をしている。」












誰もいないはずの裏庭に、自分のと似ている、だが自分のそれより幾分低い声が響いた。










*******************

あとがき(っぽいもの)


現代パロアビス学園パート2!!
雨の日の記憶の続きです。
やっとこさ出てきたぜ、あんちゃん!!
ちょこっとだけど・・・;


まだ続きます・・・!!














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