―――雨の日の記憶3―――

















声のした方を目だけを動かし見ると、紅い、髪の男が立っていた。

前髪を後方にやり、少々眉間に皺を寄せているが、顔のつくりは鏡で見る自分のそれとほぼ同じだった。









「あ、アッシュ!?それじゃあこいつは・・・・・・?」



不良達は男をアッシュと呼び、鳩が豆鉄砲をくらったような表情で男とルークの顔と見比べた。










アッシュ・・・・・・あれが・・・・・・・・・。









アッシュはわけのわからない事を話す不良に怪訝そうな顔をすると、
視線をルークの方へとうつし、その鋭い双眸に驚愕の色を滲ませた。












二対の翡翠の眼がかち合う













知っている。

俺はこの眼を、知っている。














瞳の奥に、確かな繋がりを感じた。















「 !? お前・・・・・・・・・」




アッシュも何かを感じ取ったのだろう、ルークと眼が離せないでいた。












「ルーク!!」



誰もが混乱した雰囲気の中にガイが駆けつけた。











「ルーク・・・・・・だと・・・・・・・・・!?」








アッシュはさらに驚いたようにルークを見た。

だがすぐに我に返り、不良達をかたづけにかかった。



アッシュよりも僅かに遅れて我に返ったルークも、隙を衝いて不良の手中にあるナイフを叩き落とした。



次々に当て身を食らわせて行く。



この間の時間、15秒足らず。






二人は息ピッタリで次々へと不良達を昏倒させていった。

ようやく現場にたどり着いたガイが思わず拍手をおくるほどだ。






「ルーク!大丈夫かっ?」



「ガイ、俺なら大丈夫だ。・・・・・・そこの、アイツに助けてもらったし。」



とても心配そうな顔をしていたガイだが、
ルークの得に外傷は無い様子と元気そうな笑みにホッと表情を和らげた。









「おい、お前確かガイラルディアとか言う名だったな。こいつはお前の知り合いか?」







しばらく黙っていたアッシュが口を開く。

その言葉にガイとルークはハッとした。








「あ・・・・・あぁ、コイツはルー「あーーーー!!!!」」


説明しようとしたガイの声を遮りルークが突然大声をあげる。








「る、ルーク??」






するとルークは辺りをせわしなく見渡し始めた。

どうやら何かを探しているらしい。






「えっと、確かこのへんに・・・・・・・・・・・・あった!」


足元に煌めく物を見つけたルークは、嬉々としてそれを拾い上げる。

先ほど飛んでいった指輪だった。





「よかった・・・・・」



その指輪を握り締め安心したようにホッと息をついた。








「お前っ・・・・・・!その指輪はどこで・・・・!!」


アッシュがルークの拾い上げた指輪を見て、切羽詰ったように問うた。










「あ、これ?これ、俺が発見された時に持ってたやつなんだ。」





「発見・・・・・・?」





疑問符を浮かべるアッシュにガイがルークの言葉を継いだ。


「ルークは幼い頃・・・7年前の記憶が無いんだ。森で倒れている所を保護されたんだ。」










「森・・・・・・チーグルの・・・森か・・・?」



「あぁ、そうだぜ。なんで知ってんの?」









「まさか・・・お前・・・・・・ルーク・・・・・・」








「うん?確かに俺はルーク・ローレライだけど??」







「ローレライ?」



孤児院の子供達の苗字さ。とガイが補足する。







「ルーク・・・・・・聖なる焔の光・・・・」





「 !? なんでそれを・・・・・・・」







今度はルークが驚く番だった。







『聖なる焔の光』はルークが覚えていた数少ない言葉の内の一つだった。

それが何を意味するのかはわからなかったが、何らかの手がかりであろうと思っていた。








「まさか、ルーク、お前は・・・・・」

アッシュが何か言おうとしたその時――――









「わっ!?」






気絶したと思っていた不良の頭がルークの背後を取った。






「!!?」






首筋にナイフをあてられる。








ルークは心の中で舌打ちした。


しまった、また同じ失敗を。
せっかく、何か記憶の手がかりになりそうだったのに・・・・・。
おれって学習能力無ぇー;


















ポツ―――・・・








その時、雨が突然降り始めた。


通り雨だ。


しかしすぐに止むだろう。

















「動くな!・・・・こいつがどうなってもいいのか!!」






「・・・・・チッ」

お決まりのセリフを吐く不良にアッシュが心底忌々しそうに舌打ちをする。






「てめぇっ・・・!ルークを離せ!」

普段温厚なガイが珍しく声を荒げ、一歩踏み出した。









「う、動くなと言っている!!」










「痛っ――・・・・・」










首筋にピリッとした痛みが走った。






思わず顔を顰める。

ナイフを握る男の手が震え、僅かに切れたのだ






ガイは慌てて足を踏みとどめる。
しかし、男を睨む眼はやめない。




















「・・・・っ・・・・・・!」




















雨で僅かに濡れた首に、赤い筋が滲む

それは浅いはずの傷を大きく見せた。











手元にポタリと滴り落ちた赤を凝視する。






















な  ん  だ   こ  れ  は 


























『こいつがどうなってもいいのか!!』









デ   ジ   ャ   ヴ   ?























血




―――――いたいよう
















ナイフ





―――――こわいよう


































 雨  が    降  っ て  い   る






























「・・・ぃ・・・・・・だ・・・・・・・・」




















「・・・・・ルーク?」




どこか様子がおかしいルークに、最初に気付いたのはガイだった。














ルークがカタカタと小刻みに震えだす。









「・・・・・・・・ゃ・・・・・だっ・・・・・・ぃ・・・・・・ゃだ・・・・・・・」









その顔は青ざめていて、どこか焦点があっていない。










「ぃやだ・・・・・・いたい・・・こわいっ・・・だれか・・・だれかっ・・・・・・」

















それは掠れ気味の小声で、雨音に掻き消されそうになったが、


















アッシュは確かに聞いた。














ルークの口から紡がれた言葉を






















た す け て  あ っ し ゅ に い さ ん










  











*********************

あとがき(だよ多分・・・/ぇ)


あめきお(略しすぎ?)だい3だん〜(ダウン)
く、区切りが難しい・・・!!
あれー?なんかシリアスちっく??
別にそんなつもりじゃ無かったのだが・・・・・
なんかありがちなパターンだなぁ・・・・
でも、やっぱ受けっ子の危機には攻めっ子が駆けつけなきゃ!
どうやら私の中では王子が姫を助け出すパターンが好きらしいです。

まだ続きます〜。
EDは多分ハッピー
てかバッドEDは苦手です。泣きます。(私が)
やはり好きキャラには幸せになってもらいたいんで。


次回あたりで過去話が出せるといいなぁ〜










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