―――雨の日の記憶6―――





















夢うつつにアッシュ達の話を聞いていた。




意識がまだはっきりとしない。




体も鉛のように重く、指先さえも動かせなかった。


















さらりと頭を撫でられる。









優しく頭を撫でてくれるその手が大好きだった。










転んで怪我をした時


体調を崩した時


父上に叱られた時









いつも泣いていた俺の頭を撫でてくれた。








ぶっきらぼうな物言いだったけど、

眉間には皺が寄っていたけど、







その手はいつも優しかった。












本当に、懐かしい、優しい手。


















・・・・・・・・・・・・・・・・懐かしい?






















・・・・・・・・・・・あぁ、そうか。


















やっと、




















やっと思い出した。








































未だ目覚めないルークの頭をそっと撫ぜる。








眼鏡野郎とガイは先ほど、この室を出て行った。



ガイはまだ此処に居たかったみたいだが、眼鏡が




『ルークもじきに目が覚めます。あとは兄弟水入らずで語り合いなさい。
私たちはひとまず退散します。さ、ガイ。行きますよ♪』



『え、だけどルークが・・・・ぅお、おい、旦那ぁ!』




『それではごゆっくり〜♪』




ガラガラ ピシャッ




『・・・・・・・』








正直、何を話していいのかわからない。



浮かんでくるのは懺悔ばかり。







守ってやれなくてすまなかった。



あの手を掴んでいれば。



あの時俺も一緒に飛び降りていれば。









どんどんマイナスな思考になっていくのを防ぐように軽く頭を振る。



今更悔やんでも仕方が無い。



いつから俺はこんな卑屈な考えをするようになったのだ。








そっと溜息をついた時、ベッドの中でルークが身じろぎをした。




「ん・・・・・・・・」





「・・・・・!」







睫毛がふるりと震え、双眸がのろのろと開かれる。





覗く翡翠の瞳はしばらく焦点があわず、空を彷徨っていたが、
やがてアッシュの姿を認めると、軽く瞬きをした。










「・・・・・・・気がついたか」


「・・・・・・うん」










「・・・・・・・・・・・」



「・・・・・・・・・・・」












「えっと・・・・・・」



「すまなかった。」









「え?」




突然のアッシュの謝罪にルークは驚いた。










「俺と勘違いされて襲われたのだろう。」



「あ、あぁ、まぁ・・・」



「今後、こういう事が無いように気を付ける。」



「あ、あの・・・」



「奴にも厳しく処罰しておこう。もっとも、しばらく悪さは出来ないだろう。」



「えと・・・・だから・・・」



「ガイとあの眼鏡なら今はいない。大方お前の荷物を取りにいってるのだろう。」











「アッシュ!」











「・・・・・・・・・・・・・・。」


















「アッシュ・・・・・・・アッシュ、兄さん。」







「 !! お前、記憶が・・・・・・・?」 


















「うん・・・・・・思い、出した。」




そういうとルークは微笑んだ。







「ルー、ク?」






「うん、俺はルーク・フォン・ファブレだ。」







「・・・・・・!」








「心配かけてごめん、アッシュ兄さん」







「・・・・・・・まったくだ・・・・」







「うん、ごめん。」







「・・・・・謝るな・・・・・・」







「うん・・・・・・・ありがとう。」







「・・・・・・・・・」
















「俺が生きている事を信じていてくれて、ありがとう。」
















「っ・・・・!!」










ぎゅっと、その体を抱き寄せる。










あの頃とはさすがに違い、成長して程よい筋肉もついていた。



だが、そのぬくもりは昔と変わらなかった。









生きている。









「すまなかった・・・・な・・・・。」






「謝るなよ・・・・。」







「あぁ、そうだな・・・・。」









抱きしめる腕に力を入れる
















「生きて戻って来てくれてありがとう。」















「うん。」






















雨は止んだ。








空には七色に輝く虹がかかっていた。















―― E N D ――












*****************

あとがき(なんだよこれがまた)


終わったーーーー!!!!
なんか無理やり終わらせた感がありますが;
とりあえず『あめきお』はこれで終わりです。
これから短編とか色々書けたらいいなーと思っております。
とりあえず予定では断髪を・・・・・・。
まだ髪長いんですよね、『あめきお』でのルークは。
判りにくいと思いますが・・・・・;
てか別に学園ものでなくても良かった気が・・・・;


ここまで読んで下さった方々、どうもありがとう御座います!








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