ぴょこん、と短い赤毛が跳ねる。
それはまるでヒヨコの尻尾のようだった。
―――遠い日の記憶―――
ルークが一人暮らししているアパートでは、ちょっとした騒ぎが起きていた。
「!!?る、るるるーるー!!!」
騒ぎの根源であるガイは目を白黒させてルークの頭を凝視している。
発する言葉もショックのあまりか呂律が回っていない。
「なんだよガイ、るーるーって。俺キツネじゃねぇぞ?」
確かにキツネには見えない。
どっちかって言うとヒヨコだ
「お、お前・・・・。」
「あ、アッシュ。おはよう。ガイも。」
「あぁ、おはよう・・・・。」
思わず律儀に挨拶を返すアッシュ。
さすがは大企業の御曹司、礼儀はわきまえているようだ。
もっとも、大事な弟の言葉を無視する事などできないのだが。
「ルーク!!どうしたんだその髪!!ハッまさか失恋か!!?
どこのどいつだ!!可愛いルークを振ったなんて!!
てかルークに好きな人が・・・!!!??
ぅあああああ!!!!!!!」
未だガイは混乱して叫んでいる。
そんなにショックだったのだろうか。
そう。
ルークの腰まで届く、綺麗な緋く長い髪が、
バッサリと切られていたのだ。
「が、ガイ?落ち着けって;」
「これが落ち着いていられるかっ!!誰だ!誰なんだルークぅーーー!!!」
錯乱したガイはルークの肩を掴み激しく揺さぶった。
「ぅわ、わ、ガイっ・・・目が、ま、回る・・・っ!」
あまりの振動に三半規管がついていけず、
ルークの顔が気分悪そうに歪められた時・・・・・・
ドゴォッ!!!
「がはぁっっ!!!」
「ルークが苦しがってる、離れろ屑が。」
目を回し始めたルークを見かねたアッシュがガイに正拳突きをかました。
呆れたような声音と表情だが拳は本気だった。
ふらりとよろめくルークをすかさず支えてやる。
「大丈夫かルーク?」
「ふぇ・・・な、なんとか;ガイ、大丈夫かー?」
昏倒しているガイにルークが心配そうに声をかける。
「気にするな。奴の事だからそのうち直ぐに起き上がる。
・・・・それより、その頭はどうしたんだ?」
くしゃりとアッシュの手がルークの髪を撫ぜる。
ルークは心地よさそうに目を細め答えた。
「うん・・・。ほら、俺こないだ不良に絡まれたろ?」
「あぁ」
「その時髪が少し切れちまってさ、一部だけ短いのも変だし・・・
これを機会にバッサリきっちまおうかなーっ・・・て。」
「そうか。・・・・勿体無いな。」
少し残念そうに呟くアッシュにルークは不安そうに尋ねた。
「あ、あのさ。アッシュは長い方が良かったか?
短いと・・・・・・嫌、か?」
「そんな事はない。少し勿体無いとは思ったが、短いのも中々似合う。」
「ほ、ほんとか?」
「嘘を言ってどうする。」
アッシュがフッと僅かに微笑する。
普段から気難しい顔をしてる彼にとって、とても珍しい事であった。
「ならいいや!」
そう言ってルークはアッシュの笑みに釣られて満面の笑みで答えた。
「ルーク、準備は出来たか?」
いつのまにか復活したガイに言われてルークは最終確認をする。
「あぁ。準備OKだ!」
「じゃあ、行くか。」
アッシュに手を引かれ玄関を出る。
「うん。」
今日は日曜日。
空は雲一つ無い晴天。
「もうすぐ、会えるんだな。
・・・・・・・ 父上、母上に。」
高揚とした気分を抑えつつも、
ファブレ家へと向かうルークの足取りは軽いものだった。
****************
あとがき(でござい)
ルークがファブレ家に帰還する話です。
『あめきお』の続編っぽいです。でも『あめきお』よりは短いかも。
web拍手にてリクエストがあったんで書いてみました☆
リクエスト下さった方に感謝ですv
おかげでネタが出来ました☆
断髪ネタもブチ込んじゃいましたが(笑)
ルークの「ふぇ・・・」はゲーム本編でもあったんで使っちゃいました!
聞いた瞬間我が耳を疑いました・・・!!
可愛いじゃないか!!!(壊)
そしてついにガイを壊しました。
ガイファンの方々すみませんっ!!
てかアビスファンの皆さんすみません!!OTZ
まだ続きます・・・;
戻る