【誰も眠らない墓】







――――ぱきん。


極々小さな音だったが、周りの静寂がその小さな音を大きく響かせた。


唖然とする周囲、ざわり、とざわめく前にその音の要因を作った本人が静かに口を開いた。



「私にとって、これはただの【大きな石】です。」



【大きな石】は光沢がある大理石で出来ていて、石とは思えないほど滑らかな表面だが、一部が小さく欠けていた。

欠けさせた張本人であるシュザンヌは、ゆっくりと振り向き手にしていた献花の花弁をくしゃりとちぎり、はらりと落とした。
すると隣にいたクリムゾンも同じように、手にしていた献花の花弁をちぎり、落とした。

はらりと風に遊ばれて舞い落ちる白い花。
それに見向きもせず、シュザンヌとクリムゾンはまっすぐな瞳を周りに向けた。

「とても綺麗だけれども、やはりこれはただの石ですわ。」
「これは墓なのだろう?生憎と、今の我々には必要ない。」


「し、しかし公爵様・・・!」
式の進行者が皆の気持ちを代弁して困惑したように声をかけるが、シュザンヌがゆるく首を振ってそれを遮る。



「折角用意して下さったのに、申し訳ないのですが。」
「生憎、我が家は誰も死んではおらん。」


アッシュもルークも生きている。
言葉にはしないが、それは聞かずとも誰もがわかった。


すると、公爵家の使用人達が集まっていた場所の一番前にいたラムダスが、一歩前に出て、手にしていた献花の花弁をちぎり落とした。

それに習ったように、メイド、使用人、白光騎士達―――公爵家の者全員が手に持っていた献花の花弁をちぎっては落とした。



「皆様がおっしゃりたい事はわかります。」
「世間ではそういう認識なのだろうが・・・・・」


「私―――私達は、誰が何とおっしゃろうと、あの子達が生きているのを信じております。」
「だから私達は【これ】を墓とは呼ばない。」



「ただの【大きな石】ですわ。」


にっこりと微笑むその顔は、普段の儚さはなく、子を信じている『母』の笑顔であった。






*   *   *   *   *


なんか文章めちゃくちゃでまどろっこしいです;
冒頭はシュザンヌ母上がアッシュとルークのお墓を軽い譜術で傷をつけたんです。
何が言いたいのかよくわからなくなったけど、とにかくかっこいい夫妻が書きたかった。







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