※ワイルドハーフなパロです。
ルークが飼い主でアッシュが狼になってます。









――紅き狼――







「アッシュ、アッシュ。」

パタパタと足音をさせ、短い朱毛をフワフワと揺らしながら
ルークがアッシュに駆け寄った。

「うるせぇ。そんなに大声出さなくても聞こえてる。」

一方、呼ばれたアッシュという《狼》は
腕に乗せていた頭を上げ、駆け寄るルークに返事をした。


「俺ちょっと、しょーゆ買ってくるよ!切らしてたの忘れてたんだ!」

わたわたと準備をしながら少し早めの口調で言う。
それにアッシュは溜息交じりに言った。

「だから昨日の買い物の時に、買い忘れはないか聞いたんだ。」

「だって忘れたもんは仕方がないじゃん。」

「そういう問題じゃない。・・・・・一人で行くのか?」

ルークの言い訳に、そうピシャリと言ったあと
あまりわからないが心配の含まれた問いをかけた。

「うん、もう時間がないからすぐそこのスーパーで買ってくるよ。
 それに、アッシュ、寝てたんだろ?」


誰が起こしたんだ誰が。
起こした張本人が今更気遣うな。


「・・・・・・・・・まあな。」


しかし、本気で寝ていたわけではない。
睡眠をとる事はあるが、常に意識の底では起きている。


「じゃあ、早いところ行ってくるよ。留守番頼むな!」

「あぁ」

ルークが玄関から出て行くのを目だけで見送り、
アッシュは再び交差させた腕の上に頭を乗せ目を閉じる。


スーパーといっても、目と鼻の先・・・・
ほんの500m先のスーパーだ。
そうそう何かがあるわけでもないだろう。

アッシュはそう思い、再び眠りにつこうとした。




――――。



ふと感じた<嫌な匂い>




ピクリと耳が動く。

アッシュが目を開けた刹那、普通の狼以上の
目にも留まらぬ速さで窓から出て行った。

マンションの6階から飛び降りたにもかかわらず、軽々と着地する。
着地したあと、ある方向の道に顔を向け
クン、と鼻を鳴らす。



(あっちか)



不意に香る鉄に似た匂い。
それに苛立ちつつも風のように駆け抜ける。



(あの馬鹿が!また何かに巻き込まれやがったな!!)



やはり付いて行くべきだったかと舌打ちをする。

アッシュは道の角を曲がり、スーパーへの道から僅かに逸れた路地裏へと迷わず突き進む。
路地裏の奥に、数人の男に囲まれた朱が見えた。

見れば男達の手には鈍く光る鋭利なモノが握られている。
さらによく見れば、表情の険しい朱は腕を押さえ、
その指の隙間からは衣服より滲み出る鮮血が見て取れた。




グルルルルッ・・・・!



「あん?」

ふと聞こえる怒りの篭った狼の唸りに気付き、
男の一人が後ろを振り返る。

そこには、普通の犬よりも一回り大きい、
珍しい紅毛の狼が立っていた。

「犬・・・?いや狼か?」

でも何故こんなところに?


「・・・!!・・・アッシュ!」

唸りに気付き、男達の隙間から見て取れた紅に
ルークは安堵したように呼んだ。


「あ?こいつお前の犬か?」

そう言い、男がルークの方へと振り向いた瞬間


「俺は犬じゃねぇっっ!!!」


背後から怒号とともに、男は半ば殴られるように背中を引掻かれ、道に討ち捨てられる。


「しゃ、喋った?!!」

仲間が倒れた事よりも狼が喋るという、
常識では考えられないことに周囲の男達が驚く。


「雑魚共が群れてんじゃねぇよ!!」



――――カッ!!!



そう言うと、狼の体が目を刺すような光に包まれる。
光が止むと、そこに狼の姿はなく、
代わりに逞しい体躯の青年が立っていた。

しかしその姿は人にあらざらぬ出で立ちであった。

鮮血を思わせるような長い髪。
逞しい体躯を覆う赤毛
手に備わる鋭い爪

そして今にも人を射殺しそうな
鋭い眼光を放つ翡翠の瞳



「ば、化け物だっっ!!」

そう叫び、先ほど倒れた仲間をそのままに、わたわたと逃げ惑う男達。

「逃がすかっ!!」

そう言うが早いか、アッシュは古く打ち捨てられた看板に
《マーキング》を施した。

途端、看板からは木の蔓が伸び出し、
逃げる男達へと襲い掛かる。

「ひいっ!!」

「ぅわあっ!」

木の蔓に捕らえられた男達は必死にもがくが、
頑丈な蔓に成す術はなかった。


「誰かに見つけてもらえるまでそうしてるんだな。」


そう言うとアッシュはルークを抱え高く跳躍し、その場から消え去った。



















「ったく。貴様は一人でまともに買い物すら出来ねぇのか。」


「う・・・;ごめん・・・・・・。」


幸い、そう深くはなかった腕の傷を手当てをしてもらいながら、
ルークは延々とアッシュから説教を受けていた。


「これだからテメェは屑なんだよ!!」


「だからごめんってばー;」


「あやまって済む問題じゃねぇ!!」

手当てを終えたアッシュは、一瞬きの間に人型から狼の姿へと戻った。


「だって、向こうからぶつかってきて、イキナリ路地裏に連れ込んできたんだぜ?」


「だっても何もねえ!」


アッシュの怒号にルークは思わず目を瞑る


「俺が駆けつけなければ今頃どうなってた事か・・・!」


こう怒鳴ってはいるが、心配してくれているのだとわかるルークは、
その事を嬉しく思い、自然と頬が緩んでいた。


「・・・・・・・・何ニヤニヤしてやがる。」

不機嫌そうにギロリと睨むアッシュに怯む事なく、
ルークはアッシュに微笑み言った。

「いや、アッシュが助けに来てくれて嬉しかったんだ。
 アッシュ、すっげーかっこよかった。」

「なっ・・・・!」

笑顔でストレートに言うルークにアッシュは頬に熱が集まるのを感じた。

「何言ってやがる・・・屑がっ!!」

照れ隠しに怒鳴りつける。


「アッシュ」

「・・・・何だ」

「変身してるよ?」

「!?」


どうやら、ルークの嬉しい言葉に思わず変身してしまったようだ。


それにクスクスと笑いながらルークはアッシュに抱きついた。

「アッシュ」

「・・・・・・・」

「大好き」

「フン」


背中に腕を回される。

いつものように眉間に皺をよせ仏頂面をしているが、
人型でも尚ある尻尾がパタパタと揺れていた。



謝罪するように触れるだけのキスをルークから仕掛ける。
唇を離そうとしたら今度はアッシュのほうから唇をよせ、深く口付けた。



「ん、ふっ・・・・・・・・」



はぁ、と唇を離し、ルークはアッシュの胸に頭を預ける。




「・・・・・・ルーク。」

「うん?」

「あまり心配をかけるな」

「うん。ごめんな?」


そう言い、再び唇を重ねた。







* * * * * * * * * 

やっちまったぜワイルドハーフパロ。ワイルドハーフ結構好きでしたv
サルサや銀星みたいな犬がほしい・・・白夜?だっけ??みたいなのもいいな。
ちなみにアッシュは紅毛の狼。
手負いの所をルークに助けられて、そのまま居ついたらいいよ!
てかちゅー書くの恥ずかしいね////他所様のは平気なのだが・・・むしろ萌える・・・!
自分で書くとどうも・・・orz


あ、ちなみにワイルドハーフってのは昔WJで掲載されてた漫画の事です。
なんか犬とか猫とかが飼い主の《情》によって人型になるんですよ。
それが出来る種族が『ワイルドハーフ』って言うらしいです。
まあ早い話、飼い主に危機が迫ったり、嬉しかったりすると変身するんです。
面白いから興味のある人は是非読んで見てくださいな♪





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