――小さな騎士(ナイト)
    僕らのお姫様(プリンセス)――





「今日は沢山買い物したなー。」

紙袋いっぱいに詰め込まれた食材を両手で抱え、ルークは自分の両側にいる双子に語りかけた。

右側にいる少年・・・・アークがコクリと無言で頷く。
左側にいる少年・・・・ルーシはニコリと笑い頷いた。

二人の手にも(さほど重くないが)買い物袋が提げられている。

自分ひとりでも大丈夫な重さだったが、
どうしても手伝うと言って聞かないので、軽めの荷物を持たせたのだ。


「最近は皆よく食べるもんな。」


「あぁ、特にルーシはがっつくからな。」

同意するように頷き、さり気に毒を吐く。
こういうところは父親に似ている。

「なんだよっアークだって沢山食べてるじゃないか!」

ムキになり反論する。
こういうところは母親似かもしれない。


ぎゃいぎゃいと言い争いを始めた二人に、ルークは苦笑しながらも、
二人のやりとりにどこか懐かしさを覚えていた。


(なんか・・・昔の俺とアッシュみたいだ)



やはり性格も親に似るのだろうか、そうどこか人事に思いながら微笑む
そろそろ止めなければと思いながらも、微笑ましい光景になかなか静止をかけられずにいた。

しかし、やはり喧嘩はよくないと思い、とめようと口を開いた。


「まあまあ、二人とも。喧嘩はよくな・・・って早!」


しかし、続く言葉は途中で打ち消された。

二人とルークの距離は既に50mほど離れていた。
言い争いながらも早足で進む二人にルークはおいてかれてしまっていたのだ。

人通りも少し多いので、このままでは迷子になってしまう、
否、この場合は自分が迷子なのか?

など思いながら二人に追いつくため、ルークは歩調を速めた。



その時、曲がり角から突然人が飛び出し、ルークは顔面からその人にぶつかってしまった。


「わぶっ!?」

「イテッ!」


イキナリ飛び出してきた人物に、危ないだろ!と思いながらも、
自分も早歩きをしていたし、曲がり角から人が飛び出すとは思ってなかったため、
自分にも非があると思い、素直に謝罪した。


「いたた・・・・あの、すみませんでした。」


「うおーーーいてーーー!」
「兄貴大丈夫っすかーーー?」

しかし相手はイキナリ棒読みで叫び、腕を押さえ痛がりだした。
傍にいたもう一人の男も大げさに心配する。
ルークはというとベタな展開に少々拍子抜けしていた。


(なんだぁこいつら?こういうの、どこかで・・・・
 ああ、ナタリアに無理やり読まされた恋愛小説に出てきた・・・
 えと・・・きんぴら・・・だっけ?アレ?ちんぴら?ってやつがこんな反応だったような・・・
 確か次のセリフは、骨がどうとか・・・・・)


「これは骨が折れちまったかもなー」


セリフもそのまんまである。
しかも腕を押さえているが、実際にルークがぶつかった箇所はもっと上の肩に近い方である。


「えと・・・すみません・・・」


ほかに言う言葉が見つからなく、ルークはただ謝罪をする。


「謝ってすむなら警備兵士はいらねーってんだよ!」
「そうだなーちょーっと付き合ってもらえねぇかな?」


ガシリと掴まれた腕にルークは表情を険しくする。


「すみません、急いでいるんで。」

そう淡々と告げると腕を振り払おうとするが、
掴まれた腕の力が強まり、わずかに眉を寄せる。


「そう言うなよな。」
「ホラ、お礼してもらわなきゃ。」

掴まれた腕に、自分を嘗め回すような視線に、虫唾が走る。
はっきり言って気持ち悪い。

ルークの先ほどから沸々と湧き上がっていた怒りが爆発しようとしていた。


「このっ・・・!!」


ひゅんっ


だが、振り向きざまに左ストレートを顔面にお見舞いしようとした時、
ルークの両側から何かが飛んできた。



ドゴォッ!!!

飛んできたのは人間の子供――アークとルーシだった。


二人は、ルークの腕を掴んでいた男とその隣にいた男に顔面に
見事なとび蹴りを披露していた。


どさりと男達が倒れる鈍い音とストンと軽々と着地する音二つ。


「あが・・が・・・」
「いでで・・・」

顔を抑えてのろのろと上体を起こす男達に二つの影が覆う。


「ひっ?!」


子供なのに強い威圧感に無意識に体が怯む。
無表情で自分達を見下ろす二人の少年に男達は息を呑んだ。



そして二人の少年はまるで一人が喋っているかのように、声を揃えて言った。

「「月夜ばかりと思うなよ」」


「?!!!」
この時、ルークはデジャヴを体験した。
頭の隅に巨大化した個性的なぬいぐるみの顔がちらつく。


「ひぃいい!!」

「ぅわわああ!!」

男達にはそんな事はなく、目の前の恐怖から逃れようと、脱兎の如く走り去っていった。



「「母上っ・・・!!」」



先ほどの黒いオーラは何処へいったのやら、
一変して心配そうな表情をした二人がルークに駆け寄ってきた。

しばらく硬直していたルークだが、ハッと我に返ると
自分の腰にしがみついてくる二人の頭を優しく撫でる。



「母上っお怪我はありませんか・・・!」
「ごめんなさい、俺達がはぐれたばかりに・・・!」

表情豊かなルーシもだが、滅多に表情を崩さないアークまでもが落ち込んだ表情をしている。
しゅんとうな垂れるアークとルーシを見てルークは苦笑いする。

(子供に心配され、守れらるなんてな・・・・でも、俺が大変な時にいつも助けてくれる所とか
 ・・・・ほんと、アッシュそっくりだ)


「アークレス、ルーシアス。」


名前を愛称ではなく、本名で呼ぶと、まだ成長途中の小さな肩がピクリと震える。
荷物を地に置き、しゃがみこみ、うな垂れる二つの頭を抱き込むようにして撫でた。



「助けてくれて、ありがとな。」



その言葉に二人は顔を上げる。
そこには大好きな母の笑顔があった。

知らず、笑みがもれてくる。
ああ、この母は人を笑顔にさせる天才だ。


さっきの喧嘩はなかったかのように、アークとルーシは顔をあわせ笑う。
そして大好きな母に抱きついた。



「「母上大好きっ!」」











おまけ?




「うーん・・・」

「どうした、ルーク?」


自分の腕の中に納まり、先ほどから仕切りに唸り声を上げるルークに問う。
先ほどからアニスがどうとかブツブツと呟いている。


「いや、どこで覚えたんだろう・・・って・・・」

「?」


よくわからないが、自分のといるのに違うことを考えている彼女に嫉妬し、
自分のほうに関心を向けるため、抱きしめる腕の力を強め、軽く額にキスをした。








***************
あっとがっき〜

家族パロ第一弾!
双子とルクのほのぼの〜のつもりで書きました。
最後らへんちまっとアシュルク〜w

双子の名前は
「アークレス(兄)」と「ルーシアス(弟)」です☆
でも大体はアークとルーシって書くと思います。

てか、ルークアークルーシで打ち間違えそうになった・・・
実際打ち間違えがあったら拍手とかでひっそり教えてくださいな;;







おまけ?2



細いく薄暗い路地裏にて、男二人は目の前の人物に怯え、震えていた。
ガタガタと音が聞こえそうなくらい震えている。

「ひぃ・・・あ・・ご、ごごごめんなさ・・!いや、すみま、せ・・・!!!」

「ほ、ほんとに・・・!で、でできごころでっ・・・!!」

歯もガチガチと鳴り、言葉もうまく喋れていない。
可哀想に思えるくらいに怯えているが、生憎とここは人通りの少ない路地裏。
しかも夕方で皆は晩御飯の時間帯・・・・。
助けを呼ぼうにも人はまったくいなかった。
それ以前にこの男からは逃げられないと確信していた。

目の前の男は、昼間に打ち負かされた双子の少年達を両脇に控えている。


風(もしかしたら殺気だったのかもしれない)に吹かれ、
見事な紅髪がサラリとすべる。
口元に微笑を浮かべていたが、目は完璧に笑っていない。

重い沈黙が流れ、男が口を開く。


「・・・・・・・こいつらか?」


そう男が聞くと、双子はコクリと無言で頷く。
こちらも目が笑っていなかった。


「そうか・・・・貴様らか・・・・俺の妻に手ェ出しやがったのは・・・・・。」


バキボキと指の間接を慣らしながらくる男に、男達は心の中で遠い田舎の母を想った。

お母ちゃん・・・先立つ不幸をお許しください・・・・(涙)




「「ぎゃああぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」」



愛妻家の彼の洗礼を受けて、二人の悲鳴は夕焼けの空に消えていった。




こんなオチ。




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