【借りたお金】










「よっと」

柔らかい草の上に音も無く降り立つと、佐助はそれまで自分を運んでくれていた
大きな黒い鳥の首を軽く撫でた。


「ご苦労さん。こんなとこまで飛ばせてごめんね。」

そう言えば、鳥はまるで気にするなと言っているかの如く、一度だけ大きな羽をバサリとはばたかせた。


「さて、と。」

鳥を空に放したあと、佐助はゆっくりと川沿いを歩みを進めた。
すると、幾秒かもたたない内に、前方に人影が見え、佐助は歩みをすこし早めた。
人影はただ何をすることもなく、小さめの岩にじっと座っている。


「だ〜んな。待った?」


佐助が声をかけると、人影―――幸村は川を見ていた首を佐助の方へと向けた。


「佐助、もう来たのか。もう少しゆっくりしておればよいものを。」


「旦那がここで暴れてないか心配でね〜。」


そうおどけたように言えば、幸村はキョトンとしたあと少し拗ねたようにそっぽを向いた。


「俺はそこまで愚かではないぞ。」

「ははっ、嘘、冗談だって。俺様が早く旦那に会いたかっただけ。」

旦那ってば意外と焦らすの上手だね〜。
なんて軽口を叩きながら佐助は懐を探り、一つの小袋を取り出した。

小袋は佐助の親指ほどもなく小さく、深紅の紐で佐助の首から提げられていた。


「はい、借金返済っと。」


佐助はその小袋を開け、唯一の中身である一文を取り出し幸村の手のひらに落とした。



「うむ。」


幸村はその一文を受け取ると、己の首から提げていた"五文銭"に通した。


「して、佐助。お前の分は忘れてないだろうな。」

幸村がそう問えば、佐助はまた別の袋を取り出し、中から六文を取り出した。

「あったりまえでしょ〜?じゃなきゃ、旦那と一緒に川渡れないじゃん。」

「ははっ、そうだな。」

そう、お互いに笑いあっていると、川の向こうから、一隻の木船がゆっくりと近づいてきた。

「お、来た来た。」

ごとり、と控えめな音を立て、川岸に着けられた船に二人は乗り込んだ。


「御勤め、ご苦労でござる。」


笠を深く被り、櫂を握る者に幸村が丁寧に労いの言葉をかけるのが可笑しく、佐助はクスリと笑った。

笠を被った者は無言のまま、櫂で岸を突き、ゆっくりと船を出していく。




だんだんと遠ざかる岸を見つめながら、不意に佐助は言った。


「ねえ旦那」


「なんだ?」


「また、同じ時代に生まれたらいいね。」

輪廻。というものをまるっきり信じていたわけではないが、この人にあえるならと、そう願った。


「何を言っておる。」

「は?」


「お前は俺の忍だ。主である俺の影・・・すなわち一部でもある。
 俺の一部なのだから、俺がいる所にお前がいるのは当然だろう?」


そう堂々と自分のもの宣言をした幸村に、佐助は、先ほどの問いに僅かに歪んでいた口をフッと緩めた。


「俺様ってば、来世でも旦那の部下なのね〜。まったく、働かせすぎでしょ?」


「何を今更。」


「はいはい、今更ですよねー。」









来世でもお仕えさせて頂きますよ、旦那。



貴方の言う輪廻の通りに。







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初BASARA小説…!なのに死ネタ!!(爆)
基本死ネタはあまり好きじゃないのですが、
こういう、先に希望がある死ネタはOKです(なんぞそれ)

これはCP無しでも大丈夫だと思うけど、
時矢の脳内は常に佐幸。
真田主従万歳☆
てか武田軍いいよ!ぅおやかたさぶぁあああ!!!!








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