非日常的な日常〜日常的な非日常〜
「アッシュ・・・見つかんねぇな・・・・」
すぐ近くだと聞いたのに、公園の先を進んでも中々見えてこない姿。
これ以上の散歩道はわからないので、トボトボと来た道を帰りだす。
「あーあ、すれ違いなっちまったのかな。」
途中、公園に立ち寄りベンチに座る。
「あー、にしても今日は良い天気だな・・・・」
ぼんやりと空を見上げると雲一つない晴天。
丁度お昼時なのか、めずらしく公園で遊ぶ子供達はいなく、静かだ。
時折聞こえる鳥達のさえずり、暖かい日差し。
眠気を誘うには十分で、起きたばかりなのにルークはうとうとと船を漕ぎ出す。
「んー・・・あっしゅ・・・・・・・・・・・」
「はへ?」
目が覚めると日がわずかに傾いてた。
「やべ、寝ちまった・・・ん?」
慌てて起きると、ぱさり、と上着が落ちる。
自分が着てきたものではない、ふと、隣をみる。
「アッシュ・・・」
日差しだけでなく、隣も心地が良いと思っていたら、
隣にはあれだけ探したアッシュが座っていた。
しかも・・・・・
「寝てる・・・・?」
目を瞑り、じっとしている。
(うわー、アッシュのうたた寝、珍しい・・・)
本人が眠っているからと思い、遠慮なしにマジマジと見つめる。
(睫毛長い・・・うう、うたた寝してもやっぱかっこいい・・・同じ男なのにな・・・・)
いや、獣人の場合は雄だろうか?などとつらつら考えながらアッシュを見つめていたら、
ぱちり、と隠されていた深緑の瞳が現れた。
「人の顔マジマジと見て楽しいか?」
ニヤリと笑みが浮かぶ瞳にルークはハッとして慌てて目をそらす。
「お、起きてたのか?いつから?」
「お前が落とした上着を拾い上げるときだ。」
「それって殆ど最初からじゃねえかよ・・・」
ルークは恥ずかしくなってそっぽを向く。
「にしてもお前、随分と無用心だな。外で堂々と寝るなんて。
それに、まだ病み上がりだってのにロクに着込みもしねぇで外出やがって。」
「う、だって、アッシュに追いつこうと思って・・・」
もごもごと言うルークにアッシュは一つため息をつくと言った
「はあ・・・・、お前が俺を見つけようとしなくても、俺がお前を見つけてやる。」
だから、大人しく待っていろ。
そう言って立ち上がる。
すると、瞬く間に人型から獣型へと姿を変えた。
《帰るまでが散歩。だろ?散歩を続けるぞ。》
「あ・・・うん!」
「アッシュ」
《あ?》
「俺、やっぱりさ、アッシュ探すよ」
《は?》
「ほら、アッシュが俺を探すだろ?んで、俺もアッシュを探す。
そしたら、もっと早く会えるんじゃね?」
そういって満足げに笑うルークを見て、アッシュは最初は呆然としていたが、
やがてふっと笑うと、再び人型へと変わった。
「・・・・そういう考えもあるか。だが、今日みたいにすれ違わなければの話だがな。」
「うぐ、そ、それは・・・・」
「それに、勝手に探すような所に行くんじゃねえぞ。」
「なんだよ、これじゃどっちが飼い主だかわかんねえじゃん・・・・。」
「さて、な。
ほら、行くぜ『飼い主様』?」
そう言ってニヤリと笑みながら手を差し出される。
その笑みに赤面しつつ、ルークは差し出された手を取った。
* * * * * * * * * * * * * *
会えることは会えましたとも(何)
一応このシリーズはこれで終わり。
最初から最後まで書いてる本人もよくわからなかった・・・
ベタどころを書いてみたり。
でもベタなの好きだ。
ほら、某制服ヒロインのピンチに駆けつけるかっこいい某仮面みたいな。
ほかにも某ナイスミドルと某桃姫とか。
ようはハッピーエンドが好き。