【あなたが生まれたことに感謝します】









「ハッピーバースディルーク!」

声のそろった祝いの言葉。
弾けるクラッカーの音。
そして自分に向けられる皆の笑顔。

すべてに驚き、ルークはだらしなく口をぱかりとあけて呆けていた。


「・・・・へ?」


「もーう、ルークってばぽかんとしちゃって!」

「今日はお前の誕生日だろ?」

「だからみんなで祝おうって事になりましたの」

「貴方に内緒で事を進めるのは大変でしたよ」


「た、大変って・・・・」


「ふふ、でも、驚いたでしょう?」

「まあ・・・・な。」

微笑みながら言うティアに、ルークは照れくさそうに笑った。







旅の途中のため、ささやかなものだったが、とても楽しいパーティだった。

お金に余裕があったため、一人一部屋でとれた宿のベッドに身を沈めながら、
ルークはまだ喜びの余韻に浸りながら眠れないでいた。



そしてふと気づく。


「あ・・・・てことはアッシュも誕生日今日だよな・・・・」


『ルーク』の誕生日。

てことは、『レプリカ』である自分は本当は別の日に生まれたのかもしれない。

本当はアッシュの誕生日であって、祝わいの言葉やプレゼントは本来ならばアッシュが受け取るものだ。


そう考えると、ルークはどんどん思考の渦に飲まれていく。
それを引き上げたのは、窓を控えめに叩く音だった。


「なんだ・・・?」

訝しみながらも、薄いカーテンを開けるとそこには鏡・・・・ではなく、
本来なら祝われるべき自分のオリジナル。アッシュがそこに立っていた。


「あ、アッシュ!?」

「しぃ、静かにしろ。他のやつが目を覚ます。」

慌てて窓を開ければ、するりと音も無く滑り込んできた。
そしてルークはハッとしたように言った。

「そうだ、アッシュ、誕生日おめでとう!」

「・・・なんだ?」

「だって、今日はアッシュの誕生日だろ?・・・・本当は俺が祝われるべきじゃないんだ。」

ルークはそう言って俯いた。
きっとまたアッシュに「この屑が!」とか言われるんだろうなぁ、と苦笑いしながら。

だが、いつもの怒声は聞こえず、変わりにぎゅっと抱きしめられた。


「え?あ、アッシュ??」

「黙れ屑。何また後ろ向きになってやがる。」

やはり静かにだが、やはり屑といわれた。
だけどそれ以上に、アッシュが自分を優しく抱きしめるのにルークは戸惑っていた。

「でも・・・俺はレプリカで、本当の誕生日は・・・・」


「・・・・だ。」


「え?」


「同じだ。お前は俺の誕生日の日に生まれた。だから同じなんだよ。」


アッシュから聞いた真実にルークは驚きを隠せないで、目を見開いた。

「うそ・・・」

「嘘じゃねぇ、お前の生まれたその日、俺はお前に初めてあった。」

ヴァンの奴が誕生日プレゼントだとかほざいてな。と呟いた。

「だから、今日お前が仲間からもらった祝いの言葉やプレゼントは間違っちゃいねぇ。」

まあ、もし違ったとしても、やつらの祝いなんか俺はいらねぇがな。と言うアッシュに、
ルークはだんだんと嬉しくなって、そのままアッシュにしがみついた。

「そう、なんだ・・・へへっ」

「なんだ気色の悪い」

「ひでーな。だって嬉しいんだ。アッシュと同じ誕生日だなんて。」

そうへにゃりと微笑むと、アッシュの抱きしめる腕がいっそうきつくなった。


「アッシュ、誕生日おめでとう」

「ルーク、誕生日おめでとう」





HappyBirthday!"Luke"





* * * * * * * * * * * * *

自分の誕生日にフリーで書いたもの。

最近、話の締めかたがわからなくなりました(爆)

自分への祝いを自分で書く。む、虚しすぎる…!










おまけ?


↓

↓

↓







「そういや、ヴァンはお前がプレゼントだって言ってたな。」

「へ?」

「これだけはヴァンに感謝しなきゃな。」

「あ、アッシュ!ちょっと!」

「なに、俺からも誕生日プレゼントをやる。・・・・・うんと可愛がってやる。」

「////・・・明日に響かないようにしてくれよ。」

「善処する。」








終わろう!




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