2日目
質問攻め
昨日、己のレプリカに宣戦布告もとい求愛宣言されたアッシュは頭が痛いのを自覚した。
期間は一週間
それはこの街に滞在する間だ。
ローレライの悪戯か、互いのアルビオールが故障してしまったのだ。
その修理のための1週間である。
1週間の間にルークはアッシュを振り向かせると言ったのだ。
だが、1週間たってもアッシュがルークを見向きもしなかったらその時は諦めると言った。
そのことを話すルークは真剣そのものだったが、アッシュは内心楽勝だと思った。
1週間、あいつらを避ければいい。幸いにもこの街は広く、安宿もいくつかある。
人一人探すには少々骨がいるし、こちらが避ければ宿が被ることもない。
癪だが1週間身を潜めればいいだけの話だ。
だがアッシュのその考えは甘かった。
「あーっしゅ!なぁなぁ、アッシュはさ、紅茶はアッサムとダージリンどっちが好きなんだ?」
店内で、己の向かいに腰掛けて笑顔で話しかけてくるルーク。
何の偶然か、はたまた同位体のなせる技なのか、何故かアッシュの場所をルークは探し当てるのだ。
「テメェ・・・何故ここが解った。」
「だって大好きなアッシュの気配、俺が間違えるわけないだろー?」
事も無げに『大好き』と言うルークにまた頭痛を覚える。
「な、アッシュは紅茶どれが好き?俺はストレートならダージリンだけどミルクと砂糖たっぷりのアッサムも好きなんだー」
先ほどから質問ばかりしてくるルーク。
それは食べ物だったり場所だったり様々だ。
しかも好みが殆ど一緒なのがますます気に食わない。
それを感じ取ったのかルークはまたにこりと嬉しそうに笑う。
「あ、もしかしてアッシュも同じか?やっぱ好み一緒なのかな?うわー嬉しいなー。な、今度俺が紅茶淹れてやるよ!」
「テメェの淹れたもんなんぞ泥水並みになるのがオチだ。」
「ひっでー!俺だって紅茶くらい淹れられるぜ!」
「ハッ、どうだか。」
そういって立ちあがりアッシュは店を出る。
慌ててルークが追いかけるが、アッシュはそれよりはやく人ごみに溶け込みルークをまいたのだった。