5日目
嫌われた?
アッシュはイラついてた。
何にイラつくのかもわからないくらいイラついていた。
最近の自分はおかしい。
以前ならルークの顔を見ただけで嫌悪を露わにし、下手をすれば抜刀さえしていた。
だがここの所はどうだ。
ルークの言葉に耳を貸し、ルークが聞けば答えることもある。
食べ物だって、手作りを平気で食べるほどだ。
こんなはずじゃない。
俺はあいつを憎いはずだ。
いままでそうやって生きてきたはずだ。
奴を憎み、蔑み、見下すことでそれを糧にして生きていた。
憎しみしかなかったはずなのに、ルークの事を考えただけで違う感情が湧き上がるのを感じる。
これがなんなのか解らない。解らないもどかしさに更に苛立つ。
そんな時にルークがいつものように笑顔で好きだと言ってきて、つい、やってしまった。
「うるせぇ劣化レプリカがっ!!!!」
ドンと突き飛ばせば、あっけに取られた表情で尻餅をつく己のレプリカ。
それすらもイラつく。
「いい加減うぜぇんだよ!!その面二度と見せんじゃねぇ!!!」
言い切った後でしまった、と思う。
苛立つのは確かだがそこまで言うつもりではなかった。
だが一度言ってしまったものはもう取り消せない。
「あ・・・・そ、そっか、やっぱ駄目、か。ごめ、ごめん・・・な?」
瞳を泳がせ、震える声で言うルーク。
笑おうとして失敗したなんともいえない表情でそのまま俯く。
それ以上この場にいるのが居た堪れなくて、アッシュは逃げるようにその場から立ち去った。